saitouyoukoのブログ

オリジナル短編小説、主にBLを投稿します。

追憶

BL、死ネタ注意






同学年の男子の葬儀があった。

彼のことは知っていた。

学園祭でギターを弾いて歌っているのを見てかっこよかった。

校内では、彼はイケメンなのでモテていた。

関わりはなかったけど、同い年の同じ学校の男子が死んだのは成長期には衝撃だった。

彼のクラスに行ってみると、机に花があった。

軽音楽部に行くと、少し暗く部活動が行われていた。

彼はいないし、前はイケメンの彼を見に来ていた生徒もいない。

僕もその一人だった。

偶然見た、校内の自販機でミルクティーを買う彼。

同じ自販機で同じ物を買う。

彼が亡くなってから死について考えた。

前に他の男子生徒が男子と話していた。

「死んだらどうなると思う?」

「無じゃない?」

彼は無になったのだ。

何で亡くなったかはわからない。

歌を聴く。悲しい死の歌を聴く。

彼のことではないのに、彼のことのような歌を探した。

学校の図書室。何の本を読んだんだろう。

図書委員の男子生徒に履歴を教えてもらえた。彼のファンと思ったのだろう。

返されていない本。

彼が借りたのが読みたかったので、もし返ってきたら教えてと言った。

休み時間、学校という雰囲気の中で彼が生前何をしていたのか考えていた。

時が経って、図書委員の男子生徒が彼のお母さんが返しに来たよと来た。

もう彼に興味のある人はいないのだろうか。

すぐに僕のもとに手渡された本を触る。

彼が何を考えたのか考えながら読んでいると、押し花の栞が挟まっていた。

彼が学園祭で言っていた。

「えーこれから、俺の一番好きな歌を歌います」

タイトルは栞に使われている花だった。

僕はその栞を10年使い続けている。



お読みいただきありがとうございます。

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