saitouyoukoのブログ

オリジナル短編小説、主にBLを投稿します。

友達以上、恋人未満

BL注意






春、薄紅の花びらがわずかに散る。

僕が見たのはみそらの目だった。

一目惚れしてすぐに話しかけた。

2人で喫茶店に行くことになって、店で「目が美しいね」と言った。

連絡先を交換した。

好きな食べ物は。

好きな曲は。

好きな色は名前の通り、みそら色。

話しかけて、一緒に出かけたけど、友達留まり。

告白する勇気はなかった。

それもそうだ。男が男に恋なんてどうかしている。

友達になって、高校3年間何度も遊んで楽しかった。

好きになってから空を毎日見るようになった。

雲の名前を覚えた。

みそら色に近いカラーペンを見つけて、みそらと遊ぶ日程を書いた。

どっかの雑貨屋で見つけたバタフライピーを飲んだ。

みそらの暑い飲み物を飲んだ時、目が濃い青色になるのも綺麗でドキドキした。

女の子遊びみたいだけど、2人でタイムカプセルを埋めた。

帰りに、ちょうど空が澄み渡っていたので、「空が綺麗だね」と言った。

告白の意。月が綺麗ですねのように。

当たり前だけど、みそらに伝わることはなかった。

つい最近、みそらが結婚した。

ちょうどタイムカプセルを開ける時期だった。

忘れたのだろうか。

1人で開けに行くと、僕宛ての手紙の内容はこうだった。

『目が美しいと言われて嬉しかった。

男が男に恋なんてどうかしている。

年後、これを見て笑ってくれ。友達関係も終わりかな』




お読みいただき、ありがとうございました。

感想コメント待ってます。

追憶

BL、死ネタ注意






同学年の男子の葬儀があった。

彼のことは知っていた。

学園祭でギターを弾いて歌っているのを見てかっこよかった。

校内では、彼はイケメンなのでモテていた。

関わりはなかったけど、同い年の同じ学校の男子が死んだのは成長期には衝撃だった。

彼のクラスに行ってみると、机に花があった。

軽音楽部に行くと、少し暗く部活動が行われていた。

彼はいないし、前はイケメンの彼を見に来ていた生徒もいない。

僕もその一人だった。

偶然見た、校内の自販機でミルクティーを買う彼。

同じ自販機で同じ物を買う。

彼が亡くなってから死について考えた。

前に他の男子生徒が男子と話していた。

「死んだらどうなると思う?」

「無じゃない?」

彼は無になったのだ。

何で亡くなったかはわからない。

歌を聴く。悲しい死の歌を聴く。

彼のことではないのに、彼のことのような歌を探した。

学校の図書室。何の本を読んだんだろう。

図書委員の男子生徒に履歴を教えてもらえた。彼のファンと思ったのだろう。

返されていない本。

彼が借りたのが読みたかったので、もし返ってきたら教えてと言った。

休み時間、学校という雰囲気の中で彼が生前何をしていたのか考えていた。

時が経って、図書委員の男子生徒が彼のお母さんが返しに来たよと来た。

もう彼に興味のある人はいないのだろうか。

すぐに僕のもとに手渡された本を触る。

彼が何を考えたのか考えながら読んでいると、押し花の栞が挟まっていた。

彼が学園祭で言っていた。

「えーこれから、俺の一番好きな歌を歌います」

タイトルは栞に使われている花だった。

僕はその栞を10年使い続けている。



お読みいただきありがとうございます。

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